【いきなり打つのはNG】初心者がショット練習をしてはいけない理由について解説!

バドミントンのショットについて

はじめに

 こんにちは!どらみです。
私は、現在バドミントン教室のサブコーチとして主に初心者~中級者を対象に技術指導を行なっています。今まで、老若男女問わず約400人以上のスクール生さんの指導を行なってきました。

 今回は、これからバドミントンを始めようとする初心者さん向けに「始めにショットを練習してはいけない理由」ついて、分かりやすく解説していきます。

 バドミントンを始めた頃、まず初めに行う練習といえば、ドライブショット(基礎打ちのショットの一種)ではないでしょうか?

 そもそも、基礎打ちとはゲーム練習に入る前に行うウォーミングアップとして各ショットを時間内で行うものです。実際に色々なショットを打つことで、ただ身体を温めるだけでなく、自身のコンディションやシャトルの飛び方等を確認する役割も果たしています。

なお、ショットの種類については下記の記事で解説しているので是非ご覧ください。

【初心者向け】基礎打ちで使われるショットについて、なるべく分かりやすく解説!
バドミントン競技では、本格的な練習を行う前に「基礎打ち」というウォーミングアップを行ないます。ここでは、基礎打ちの中で使うショットの種類について大まかに解説していきます。きちんとショットの名称や違いを理解し、今後打ち分けられるようになることを目標に練習していきましょう。

何故、ショット練習をしてはいけないのか?

 そもそも数あるショットの中で、何故ドライブ練習を最初に行うのかについて話をします。主な理由については、以下の通りです。

  • 一般的にドライブから基礎打ちを打ち始める方が多数
  • 初心者でも比較的打ちやすい
  • ラリーが続きやすい

 しかし、初心者がいきなりショット練習を行なうことはデメリットが大きいと思います。

デメリット①誤った癖が身についてしまう

  そもそも、初心者が練習するの最大のメリットは『ほぼ経験ゼロの真っ新な状態から、技術を習得できること』にあります。大人になると多少の経験や知識はありますが、基本的に自発的に情報収集しない限り、最初から技術的な知識や経験が身についている人はいないはずです。

 そして、「真っ新」ということは「これから好きな色が付けられる」ということでもあります。つまり、初心者のうちに行う練習によって自分を良くも悪くもできるということです。(※この文章中の“悪い”は「直しづらいくらいの強い癖」がつくということ)

 そのような今後の競技人生を左右する大事な時期に、いきなりシャトルを打ち始めてしまうということは非常にもったいないこと。一番、基礎固めがしやすい時期を逃すことに加え、練習の反復により誤った“クセ”を習慣化させてしまうことにも繋がります。定着してしまった癖は、日頃の習慣と同じで中々直すことは骨が折れる作業です。

 「ショット練習を始めてから並行して、基礎を身につければいいのでは?」と考える方もいるといらっしゃると思いますが、周りにバドミントンを既に始めている方がいれば日頃の練習を観察してみてください。社会人から始めた方の多くは、基礎を習得せずにショット練習から始めた方が大半かと思います。その方々の中で、基礎固めをしっかり行なっている方は癖がなく綺麗なフォームで打つことができる方は希少です。また、学生であっても部活内で経験者の指導を受けたことがない方にも同様のことが言えます。

 後々、基礎を身につけようと思っていても、ある程度打てるようになってくると「正しいフォーム振る」ことより「向かってくるシャトルを打つ」ことに意識が向いてしまいます。そのクセを直すためには、ひたすら反復して素振りやノック練習等の対人練習を行わないことを徹底するしかありません。そして、それは多くの時間と体力、神経を消耗することにも繋がります。

デメリット②怪我のリスクが大きい

 初心者がショット練習を行うデメリットは、“誤ったクセが身につく”というだけに留まりません。場合によっては、思わぬ怪我を招いてしまう可能性もあります。

 バドミントン競技において、よくある怪我に手首や肘等の関節の痛みから足首の捻挫、肉離れ、最悪の場合アキレス腱断裂や半月板損傷などが挙げられます。これは、バドミントンが前後左右やジャンプの上下運動を行う競技であること、切り返しや瞬発力が要求される競技であるためです。レジャースポーツとしてのイメージが強いバドミントンですが、競技という観点から見てみると身体に負担がかかるスポーツだということが分かります。ただえさえ、怪我のリスクが高い競技であるにも関わらず、基礎を身に付けていない状態で練習に参加するということは自ら怪我を誘発しているのと同じことです。

 また、練習を行う前に準備運動をしっかりと行っていれば安心というわけでもありません。正しい準備運動をしていても、練習の際に誤った練習方法をしていれば怪我のリスクは高まります。準備運動をするに越したことはないですが、あくまで怪我の“予防”に過ぎないことを頭に入れておきましょう。

結局、何を練習すればいいのか?

 では、具体的に初心者はどんな練習から始めればいいかということですが、基本はフットワークやラケットワークの習得、特にバドミントンを行なう上で基礎中の基礎である回内回外動作、腕の外旋内旋動作をメインに行なうことが望ましいです。スクールでは指導対象者によって教える内容が異なることが多いですが、基本的に初心者のうちは子どもも大人も同じ練習内容で良いと思います。大人にとってみれば、地味な練習でつまらないと感じる方も多いと思いますが、本当に上達したいのであれば“つまらないのが当たり前”。むしろ、楽しくシャトルを打ち合って楽に上手くなれるなんてことはないのです。

正しいフットワーク

 そもそもフットワークとは、球技や格闘技においての「足運びや足さばき」のことを指します。コート内をなるべく早く且つ効率的に動くとなると、ただ闇雲に走り回るだけでは早々に体力が尽きてしまいます。バドミントンで重要となるフットワークを普段の練習に取り入れることで、フットワークしながら打つことが習慣となり、単に効率性や俊敏性だけでなく予期せぬ足の怪我を防ぐことにも繋がります。

 フットワークには、ステップが合わさって構成されています。ここでは代表的なサイドステップとクロスステップの2つについて紹介します。

①サイドステップ

 カニ歩きの要領で、サイドにジャンプしながら進むステップです。(進行方向の足を出し、もう一方の足を進行方向に引き寄せた際、進行方向に軽くジャンプする)

 サイドステップは、フットワークの中でも多様されるもので、比較的シャトル落下までに時間的余裕があり、前後に距離を稼ぐ際に使われます。

②クロスステップ

 文字通り、両足をクロスさせて移動するステップです。(進行方向の足を出し、もう一方の足を前ないし後ろにクロスさせる際に軽くジャンプする)

 クロスステップは、サイドステップより長い距離を移動する際に使われます。特に私みたいな低身長の女性やお子さんには特に使用頻度が多いです。

正しいラケットワーク

 ラケットワークとは、ラケットワークにおける「ラケットさばき」のことを指します。怪我をしないように効率的に力をシャトルに伝えるためにも、やはりラケットの扱い方は大切です。ここでは、ラケットワークを行なうために特に重要な前腕の回内回外動作について触れておきます。

前腕の回内回外動作

 身体の前で小さく“前ならえ”(肘を脇腹につけ、手のひらを内側に向けた状態で前方に出し指先を伸ばす)状態のまま、手のひらを下に向ける動作を回内動作、逆に手のひらを上に向ける動作を回外動作と呼ぶ。日常生活に置き換えると、ドアノブを回す動きがこれに当てはまります。

 ラケットを持った状態で行うと、リストスタンド(手首を立ててラケットを持った状態)から手の甲を上に向ける動作が回内、逆に手のひらを上に向ける動作が回外となる。ひじ関節の動きです。 

 

最後に…

  

 余談ですが、日ごろから多くのスクール生さんを指導している中でいつも感じることがあります。それは、年齢を重ねれば重ねる程、素直にアドバイスされたことを吸収できないことです。

 子どもは良くも悪くも素直で、思ったことや言われたことをそのまま表現することが上手です。そして、日常生活の中でも大人の真似をして成長してきます。経験が浅いため、先入観や経験で得た知識に捉われず、疑いなくスポンジのように沢山のことをそのまま吸収できるのだと思います。また、若いうちは体力や柔軟性もあるため、パフォーマンス力が高いです。

 しかし、大人になり年齢を重ねるにつれ、それらが思うように出来なくなっていきます。その分、筋力でなんとかカバーしようとしてしまうため、必要以上に力みすぎたりシャトルを打とうと考えすぎた結果、誤った癖がついてしまうわけです。

 練習を素直に受け入れられるのは、良い悪い関係なく初心者が“無知”であることにあると思います。そして、無知だからこそ知識や経験を吸収しようと、がむしゃらに練習する意欲が沸くのだと思います。スポーツに限らず、新しいことに挑戦するということは素敵なことですし本当に凄いことだと思います。そのような、練習のはじめの一歩をより良くしていくためにも、土台をしっかり定着させてスポーツというものを1日でも多く楽しみながら成長していっていただきたいです。

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